AIを“使いこなす”とはどういうことか
SNSには多くのAI使いこなしノウハウ、お役立ちプロンプトが流れていますが、実はそんなものはたいしたノウハウではありません。ある程度使える人は、もうみんな知っている、やっていることばかりだからです。
いや、もっといえば、それらの表面的な、効率的な使い方とか、便利な使い方とか、そんなことは、それこそAIに聞けば教えてくれるものが殆どです。
それよりも、これから書くことを知らなければ、表面的な使いこなしができればできるほど、フェイク記事を量産してしまうでしょう。
そこで、本当の意味で「AIを使いこなす」とは何を意味するのかをまとめておきたいと思います。
目次
すべてがフェイクになる「前提条件の誤り」を見抜く力
AI時代になると、しばしば「ハルシネーションのチェックが大事」と言われます。
たしかに、AIが事実と異なる情報を“もっともらしく語る”ことはよく知られています。
しかし、本当に厄介なのはその先です。
AIが論理的に文章を組み立ててしまうがゆえに、
“前提条件そのものがズレている場合に、そのズレが正確に論理化されてしまう”という現象です。
このズレは、ネット検索をしても明確に書かれていない領域や、
ある業界の慣習や空気感のような「暗黙知」が絡んでいる場合に特に起こります。
AIは論理は強いが、前提条件のズレには弱い
AIは大量の文章データをもとに「最もありそうな論理展開」を構築します。
そのため、前提条件が少しでも誤っていると、その誤りを基点として、完璧なロジックの“誤った文章”を生成してしまいます。
私が実際に経験した事例でも、表面上は正しい文脈や引用を出しながら、
重要な前提条件が1つズレたまま話を組み立ててしまい、
結果として大きな論理破綻につながるという典型が発生しました。
この「前提条件の誤り」は、AI自身では非常に気づきにくいポイントです。
“論理破綻していないから正しい”という錯覚が最大の危険性
AIは筋道立った文章を作ることに優れています。
しかし、人間が読むと「どこか違和感がある」と感じる内容でも、
AIはその違和感を認識する仕組みを持っていません。
- 業界特有の暗黙知
- 空気感
- “常識”のズレ
- あいまいな前提
- 文脈に漂う微妙な違い
こうした非言語的な情報を前提として扱うことが苦手だからです。
だからこそ、
AIが出した“論理的に矛盾がない文章”ほど危険な場合がある
というわけです。
AIを“使いこなす”とは、AIを疑うことではない
AIの限界を知り、「前提条件をチェックする側」に回ること
AIを使いこなすとは、
「AIの間違いを探す作業」ではありません。
もっと重要なのは、
「AIが文章を生成する際の“前提条件”を人間が設計」し、
その前提にズレがないかを監視する側に立つことです。**
- 情報の出発点は妥当か
- 必要な文脈・背景が欠落していないか
- 業界の暗黙知や空気感から外れていないか
- ネットに書いていない“現場の常識”が抜け落ちていないか
このチェックができなければ、AIは簡単に論理的な誤りを量産してしまいます。
AIを使いこなせる人とは、「前提条件を扱える人」である
文章を整えるだけなら、もうAIで十分です。
事実確認もある程度可能です。
しかし、AI時代に人間が担うべき本質的な役割は、
“前提を読み取る力”
“前提を設計する力”
“前提のズレを直感で察知する力”
です。
暗黙知、経験、空気感、業界の癖、違和感。
こうしたものを扱えるのは、現時点では人間だけです。
AIは論理をつくり、
人間は前提をつくる。
その分業こそが、AI時代の文章制作の本質だと考えます。
まとめ
- AIのハルシネーションは「事実の誤り」にすぎない
- もっと危険なのは「前提条件がズレたまま正しい論理を作る」こと
- 業界の空気感や暗黙知はAIが最も苦手とする領域
- AIを使いこなすとは、前提を設計し、前提のズレを見抜く力を持つこと
- 人間の“感性と違和感”の役割はむしろ増している
AIを使いこなすというのは、
AIを盲信することでも、AIに何でも任せることでもありません。
AIが登る“土台(前提条件)”を人間がつくること。
そして、その土台がズレていないかを見抜く眼を持ち続けることです。
これこそが、AI時代の本質的な文章制作スキルだと感じています。